人間とて、生き物の一つ。みずからのからだを構成する原子の制約からは、のがれられない。本能には逆らえないということだ。みずからが生きたければ生き、死にたければ死に、食べたければ食べ、眠りたければ眠る。

いまが楽であればよいと思い、
その結果が何をもたらすかにまで考えはおよばない、
人間はそこまで賢くはない、
しょせん賢くはなかったのだからしかたがない。
賢くないがために、
みずからでみずからの道を断ってしまうのだ。
それもしかたがない。


みずからの道を断ちたくはないがために、
深く考え、行動する者もいるだろう。
しかしそれもまた、どんな結果をもたらすかはわからない。
何をしようが、選択しようが、
どんな結果が待っているか、あらかじめわからないのだから、
いまの行動の是非は誰にもわからない。


是非はわからず、いまの損得がわかるだけだ。
いま楽か、いまたいへんか。
先のことはわからないから
考えからは捨てられる。


これでよいのか? という思いはよぎりながらも、
考えることは途中でやめられる、続かない。


それでよいとは思わない、
が、しかたがないとは思う。


人間が滅ぶとすれば、
人間という種はそこまでだったのだろう。


他の多くの生き物も、きっとそうであった。
人間もそういった生き物の一つ。